【ステンレス研磨の基礎知識】鏡面仕上げのメリット・デメリットと種類

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【ステンレス研磨の基礎知識】鏡面仕上げのメリット・デメリットと種類

【ステンレス研磨の基礎知識】鏡面仕上げのメリット・デメリットは?種類もご紹介

ステンレスは、その優れた耐久性、耐食性、衛生面から、様々な産業分野で欠かせない素材となっています。特に、高い品質と美観が求められる場面では、ステンレスの「鏡面仕上げ」が選ばれています。
鏡面仕上げは、ステンレスの表面を磨き上げ、鏡のように滑らかで光沢のある状態に仕上げる加工技術です。
こちらではステンレス研磨の基礎知識として、ステンレス鏡面仕上げのメリット・デメリット、ステンレス鏡面仕上げの種類、鏡面仕上げに適したステンレス材をご紹介します。

ステンレス鏡面仕上げのメリット・デメリット

ステンレス鏡面仕上げのメリット・デメリット

ステンレス鏡面仕上げには、以下のようなメリット・デメリットが存在します。

メリット

ステンレスを鏡面仕上げにすることには、多くのメリットがあります。鏡面仕上げのメリットとして、代表的なものは、以下のとおりです。

美しい外観

鏡のように磨き上げられた表面は、高級感と清潔感を演出します。製品の外観を向上させたい場合に効果的です。光の反射率が上がりキラキラと輝きを放つため、宝飾品や高級車などにもよく利用されています。

耐食性の向上

表面を滑らかにすることで腐食の原因となる物質が付着しにくくなるため、耐食性が向上します。特に、水や薬品を使う環境ではこの効果は顕著に現れます。

ステンレス自体が錆にくい素材として知られていますが、鏡面仕上げを施すことで、さらに耐食性を高めることができます。

衛生面の向上

表面に凹凸が少ないため汚れや細菌が付着しにくく、清掃が容易になります。そのため、食品工場や医療現場など、衛生面が求められる環境で使用される製品に最適です。毎日清潔に保つ必要がある環境では、その効果を実感しやすいでしょう。

製品価値・ブランド力の向上

鏡面仕上げは高度な技術と手間を要するため、製品に高級感と特別感を与え、ブランドイメージを高める効果も期待できます。他の仕上げと比べて、手間とコストがかかる分、高品質で付加価値の高い製品として認識されやすいといえるでしょう。

これらのメリットを考慮して、製品の用途や目的に最適な仕上げを選ぶことが重要です。例えば、厨房機器では衛生面を考慮して鏡面仕上げが採用されることが多いです。

デメリット

鏡面仕上げは、表面が非常に滑らかであるがゆえに、皮脂や水垢などの汚れが付着しやすく、放置すると光沢が失われ、くすんで見えてしまうことがあります。
また、ステンレスといえども、環境によっては錆が発生する可能性も否定できません。特に、海岸部など塩分を含んだ空気や、温泉地など硫黄成分を含んだ空気に触れる場所では、錆が発生しやすくなります。錆を防ぐためには定期的に表面の汚れを落とし、乾燥させることが重要です。場合によっては、防錆油を塗布するなどの対策も有効です。
さらに、鏡面仕上げは傷つきやすいという側面も持ち合わせています。硬いものとの接触や摩擦によって、細かな傷がついてしまうことがあります。これらの傷は光沢を低下させるだけでなく、そこから錆が発生する原因となる可能性もあります。
このように、鏡面仕上げの美しさを保つためには、定期的な清掃、防錆処理、そして丁寧な取り扱いが求められます。これらを怠るとせっかくの輝きが失われ、製品の寿命を縮めることにもなりかねません。鏡面仕上げを採用する際にはこれらの点を十分に理解し、適切なメンテナンス計画を立てることが重要です。

ステンレス鏡面仕上げの種類

ステンレス鏡面仕上げの種類

ステンレスの鏡面仕上げには、目的や予算、仕上がりの美しさに応じて様々な方法があります。こちらでは、代表的な方法をいくつかご紹介します。

電解研磨

電解研磨は、ステンレス表面を電気分解によって溶解し、研磨する方法です。電解研磨では、ステンレスを陽極(+)に、別の金属を陰極(-)に設置し、電解液に浸します。そして電流を流すとステンレス表面が溶解し、研磨されます。電解研磨は、複雑な形状のステンレス製品でも均一に研磨できるというメリットがあります。
しかし、電解研磨のみで鏡面仕上げを行うことはできません。電解研磨は、あくまで表面を溶解させて滑らかにする処理であるため、鏡面のような光沢を出すにはバフ研磨などの処理が別途必要になります。電解研磨で可能なのは表面の凹凸を減らし、光沢が出やすい状態にすることです。バフ研磨と組み合わせることで、より美しい鏡面仕上げを実現できます。

バフ研磨

バフ研磨は、研磨剤を付けた回転するバフを対象物に当てて表面を研磨する方法です。バフとは綿やウール、不織布、スポンジなどを円盤状に加工した研磨工具です。バフ研磨では、このバフに研磨剤を付けて高速回転させることで対象物を研磨します。
バフ研磨では、研磨剤の種類や番手(粒子の粗さ)を段階的に細かくすることで、金属表面を滑らかにし、鏡面のような光沢を生み出すことが可能です。
バフ研磨はステンレス、アルミ、チタンなどの金属だけでなく、ガラスやプラスチックなど様々な材質に対応可能というメリットがありますが、研磨時に発生する熱によって素材が変形したり、研磨ムラが発生したりする可能性があるため、熟練した作業担当者が必要です。
また、研磨する対象物の材質や形状、大きさなどに応じて適切なバフと研磨剤を選定する必要があります。

鏡面仕上げに適したステンレス材

ステンレス鋼は、鉄を主成分にクロムやニッケルなどを添加した合金です。耐食性、強度、加工性などに優れ、様々な分野で使用されています。
数あるステンレス鋼の中でも、鏡面のような美しい仕上がりに適しているのは、オーステナイト系ステンレス鋼と呼ばれる種類です。
代表的なオーステナイト系ステンレス鋼には、SUS304やSUS316などがあります。

SUS304

SUS304は、代表的なオーステナイト系ステンレス鋼の一種です。クロムを18%、ニッケルを8%含むことから「18-8ステンレス」とも呼ばれ、一般的に広く使用されています。

  • 耐食性:高い
  • 強度:比較的高い
  • 加工性:良好

SUS304はこれらの特性から、様々な用途に使用されています。特に耐食性を活かして、キッチン用品や建築材料、医療機器など、水や薬品に触れる環境で使用されることが多いです。

SUS316

SUS316は、SUS304にモリブデンを添加したオーステナイト系ステンレス鋼の一種です。モリブデンの添加により、SUS304よりも耐食性に優れています。特に、塩化物や海水による孔食や隙間腐食に対して高い耐性を持ちます。そのため、海洋環境や化学薬品を扱うプラントなど、厳しい腐食環境で使用されることが多い素材です。

これらのステンレス鋼は、鏡面仕上げによってその美しさを最大限に引き出すことができます。鏡面仕上げは、高級感を演出するだけでなく、表面の平滑性を向上させることで、耐食性や衛生面も向上させる効果があります。

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